リスト規制・キャッチオール規制について、ご説明します。
日本には「安全保障貿易管理」というものがありまして、日本を含む国際的な平和及び安全の維持を目的として、
武器や軍事転用可能な貨物や技術が、我が国の安全等を脅かすおそれのある国家やテロリスト等、懸念活動を行うおそれのある者に渡ることを防ぐための輸出を管理しています。
リスト規制は、武器や軍事転用可能な貨物を規制しており、輸出令別表第1(外為令別表)の1の項から15の項に該当する貨物(技術)を規制する内容になっています。内容としては、
- 武器
- 原子力
- 化学兵器
- 生物兵器
- ミサイル
- 先端材料
- 材料加工
- エレクトロニクス
- 電子計算機
- 通信
- センサー
- 航法装置
- 海洋関連
- 機微品目
- その他・・・といった感じです。
このリスト規制によって、明らかに危険な武器や生物兵器などが経済産業大臣の許可なしに海外に渡ることを阻止できますが、それだけでは安全とは言えません。なぜなら、民間で利用されるようなものが武器に転用される可能性があるからです。湾岸戦争終了後にイラクに対する国連等の査察の結果、イラクがリスト規制に該当しない製品を使用して大量破壊兵器の開発等を行っていた事実が判明したことから、このキャッチオール規制が設けられました。キャッチオール規制については、輸出令別表第1(外為令別表)の16の項に掲げられており、対象貨物は原則、リスト規制貨物以外の全ての貨物(食品や木材は除く)となっています。汎用品の武器・軍事転用として例えば、
- 工作機械(自動車の製造など)は、ウラン濃縮用遠心分離機の製造として
- シアン化ナトリウム(金属メッキなど)は、化学兵器の原材料として
- ろ過器(海水の淡水化)は細菌兵器製造のための細菌抽出機として
- 炭素繊維(航空機の構造材料)は、ミサイルの構造材料として
などの転用が考えられます。
結局全部規制対象なの!?と思うかもしれませんが、規制対象になるかどうかは、輸出先の国によります。日本が「優遇国」としている国への輸出では、リスト規制は適用されますが、その他は免除されています。2019年の8月までは優遇対象国を「ホワイト国」それ以外を「非ホワイト国」としていましたが、現在ではグループA~Dの通称で分類されています。(Aが優遇国、B ~Dがキャッチオール規制対象国です)
対象国の詳細についてはこちらをご覧ください。