輸入ワインの市場動向
2019年輸入ワインの数量構成比において、輸入量1位のチリワイン、2位のフランスワインはそれぞれ3割弱を占めています。また、フランスや3位のイタリア、4位のスペインなどを含めたEU加盟国産ワイン輸入量合計の構成比は6割以上となっています。EU加盟国産ワインの輸入量が増加したことにより、赤・白ワインだけでなく、スパークリングワイン、オーガニックワイン、ロゼワインなど多様なワインに注目があつまり、ワイン市場全体も徐々に多様化しています。2019年2月1日に日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」とい う。)が発効され、日EU・EPAを適用して輸入するワインの関税 は即時撤廃されました。さらに、2019年4月1日、日チリ経済連携協定(以下「日チ リ・EPA」という。)の関税率が引き下げられ、日EU・EPAと同 様にワインは関税を無税で輸入することが可能となりました。全国のワインの輸入数量・輸入金額の月別推移(図1)を見ま すと、2019年2月が18,495KL(前年同月比108.3%)・153億円(前 年同月比113.6%)、4月が21,105KL(前年同月比136.9%)・165億 円(前年同月比122.4%)となり、EPA関税率が無税となった影響 もあってか前年同月比で実績が増えています。特にワインの名産国であるフランスからの個人輸入の需要はますます高まる事が予想されます。
これを機に、自分でワインを輸入してみたい、ワインの個人輸入に挑戦したいという方も増えてくるのではないでしょうか?
フランスワインの種類
ここで少々話題はそれますが、フランスのワイン産地についてまとめてみたいと思います!
ボルドー地方
フランス南西、大西洋岸に位置するボルドー地方は、赤ワインの銘醸地として名高いワイン生産地です。 ピレネー山脈から流れるガロンヌ川、ドルドーニュ川が合流して大西洋に注ぐジロンド川の流域で集中的にブドウが栽培されています。
ブルゴーニュ地方
赤・白ともフランスを代表する優れた品質のワインを生産することで、ボルドー地方と並び称される銘醸地です。
ほとんどが単一品種のブドウからワインが造られるのが特徴です。
コート・デュ・ローヌ地方
「太陽のワイン」として親しまれている赤ワイン産地が、リヨン市の南を流れるローヌ川流域です。フランスの南に位置するので気温が高く、日照時間も長いため、糖度の高いブドウが収穫され、コクのあるワインの醸造を可能にしています。
ロワール渓谷地方
フランス中央部から大西洋まで、多くの支流を従えて流れるフランス最長の河川、ロワール流域。穏やかな気候に恵まれているため、各地域の特色を生かしたワイン造りが行われています。
プロヴァンス地方
マルセイユからニースに至る海岸沿いと、その内陸部で、コート・ダジュールの温暖な気候に恵まれた地域。2000年以上も前からワイン造りが行われていた歴史のある地域です。
ラングドック・ルーシヨン地方
地中海沿岸に沿って、スペイン国境からペルピニャン、モンペリエ周辺までのブドウ生産地を指します。
アルザス地方
フランス北東部のドイツ国境に近いストラスブールからスイスに近いミュールーズに至る南北に伸びる110kmのライン川に沿った丘陵斜面。
シャンパーニュ地方
発泡性ワイン、シャンパーニュの故郷として知られるシャンパーニュ地方は、パリの北東約160kmに当たる地域を指します。
ワインの個人輸入における届出について
個人使用目的か、飲食店での提供か、販売かによって様々ですね!
ワイン(含めアルコール)の輸入規制
アルコール飲料を輸入販売する場合、所轄税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があります。販売目的でアルコール飲料を輸入する場合、食品衛生法の規制を受けます。
I. 関税分類番号(HSコード)
ビール(HS2203)
ワイン(HS2204)
日本酒(HS2206)
ウイスキー、焼酎(HS2208)
なお、関税分類上、アルコール分0.5%以下はアルコールを含有しない飲料とされます。
一方、酒税法では1%以上のものを酒類とみなします。
II. 輸入時の規制
- 酒税法
アルコール飲料を輸入販売する場合、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があります。免許の区分は販売する酒類の範囲や販売方法によって異なります。免許申請手続きについては、最寄りの税務署の担当酒類指導官までお問い合わせください。
酒類卸売業免許の申請等の手引(1.8MB)
ただし、酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場で飲用に供する業を行う場合には、販売業免許は必要ありません。この場合でも下記に詳述する食品衛生法の手続きは必要です。
- 食品衛生法
- 手続き
販売目的で酒類を輸入する場合(自身の経営するレストランで客に提供する場合も含む)、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」と必要書類〔原材料、成分または製造工程等に関する説明書、衛生証明書(必要に応じて)、試験成績書(必要に応じて)〕を届け出る必要があります。審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものは検査が実施されます。検疫所での審査や検査の結果、同法上問題がなければ、「食品等輸入届出済証」が発行され、それを税関への輸入申告時、通関書類とともに提出します。不適格と判断されたものは輸入できないため、輸入者は積戻しや廃棄等の措置を取ります。 - 規格基準
ワインなどのアルコール飲料を輸入する場合は、添加物や残留農薬基準(農薬の各食品中の残留量の限度)に留意します。基準(許容量)は食品衛生法に基づく厚生省告示第370号「食品、添加物等の規格基準」で規定されています(ポジティブリスト制度)。なお、ポジティブリストにない農薬等の許容される一定量は0.01ppm以下です。
同様に食品添加物や使用基準が定められている物質の含有にも注意を要します。日本では使用が禁止されている発色剤、着色料、保存料等の食品添加物が使用されている場合があります。例えば過去、以下のような違反例がありました。- ブランデー: メタノールの過量検出
- リキュール: メタノールの過量検出、ソルビン酸(保存料)の対象外使用、L−リンゴ酸(指定外酸味料)、指定外着色料であるアゾルビン、キノリンイエロー、パテントブルーVの含有など
- ワイン: ソルビン酸の過量使用、二酸化硫黄(酸化防止剤)の過量残存
- ワインクーラー: 安息香酸(保存料)の対象外使用
- サングリア: 指定外甘味料であるアセスルファムカリウム、サイクラミン酸ナトリウムの含有、 サッカリンナトリウムの対象外使用など
- 手続き
III. 販売時の規制
- 許認可
II. 1で記載したとおり販売する酒類の範囲や販売方法によって酒類免許が異なります。免許の酒類および申請手続きについては、最寄りの税務署の担当酒類指導官までお問い合わせください。 - 表示
酒類の保全および酒類業組合等に関する法律施行規則第11条の3により酒類を輸入する者(酒類販売業者)は保税地域から引き取る時までに輸入する酒類の容器の見やすい箇所に、輸入者の氏名または名称および住所、その引取先の所在地、容器の容量および酒類の品目並びに酒類の品目に応じ法令で定められている事項を容易に識別することができる方法で表示しなければなりません。通関港の税関収納窓口に酒類販売業免許証(又は通知書)の写しとともに以下の項目を記載した「表示方法届出書」を提出し確認を受けます。表示方法届出書記載内容
(共通表示事項)- 輸入者の氏名または名称
- 輸入者の住所
- 引取先の住所(酒類販売業免許証に記載されている販売場の位置)
- 容器の容量(ℓ、ml、リットル、ミリリットルなど)
- 酒類の種類(品名、ビール、果実酒など)
- アルコール分(度またはパーセント、%)
- 発泡性(「発泡性」「炭酸ガス含有」等)
- 食品添加物(酸化防止剤、合成保存料等の名称)
- 未成年者の飲酒防止警告表示(未成年の飲酒は法律で禁じられています等)
- 容器識別表示(スチール、アルミ、PET、紙、プラスチックを材料とする容器については識別マークの表示が義務付けられています)
- 有機等の表示(有機農産物加工酒類の場合)
(酒類により加える事項)
- 原材料
- 原産国
- 賞味期限又は品質保存期限
- 保存方法
酒類の容器・包装や酒類の陳列場所には、法令で定められている表示義務事項や表示基準に基づく表示事項を表示する必要があります。
また、果実酒等の製法品質に関する表示の基準が定められ、2018年10月30日以後「日本ワイン」と区別するため、輸入ワインには「輸入ワイン」と表示し、原産国を表示することが義務付けられます。原材料に輸入ワインを使用したものについては、「輸入ワイン使用」など、輸入ワインを使用したことが分かる表示が必要です。輸入した濃縮ぶどう果汁を水で希釈したものを原材料として国内で製造したワイン(国内製造ワイン)に、輸入ワインをブレンドして新たに国内製造ワインを製造した場合は、一括表示欄の原材料表示として、ブレンドに使用した国内製造ワインの原材料である「濃縮還元ぶどう果汁(外国産)」と「輸入ワイン」を表示することとなります。表示基準に規定された原材料以外でも、食品表示法その他の法令によって表示が義務付けられている添加物(酸化防止剤(亜硫酸塩)等)を使用した場合は、これを表示する必要があります。
IV.その他の国内関連法
- 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)・公正競争規約
過大な景品付販売や消費者に誤認されるおそれのある誇大・虚偽表示等は禁止されています。また、酒類に関しては以下の業界団体が公正競争規約を定めています。- 日本ワイナリー協会(景品)
- ビール酒造組合(景品・表示)
- 日本洋酒輸入協会(景品・表示)
- 日本洋酒酒造組合(景品・表示)
- 日本酒造組合中央会(景品・表示)
- 日本蒸留酒酒造組合(景品)
- 全国小売酒販組合中央会(景品)
- 全国卸売酒販組合中央会(表示)
- 資源有効利用法・容器包装リサイクル法
プラスチック製容器、紙製容器、ペットボトル、酒類用スチール缶、酒類用アルミ缶等は、分別回収促進のための材料識別表示が義務付けられており、特定事業者(輸入業者を含む)は容器廃棄物の再商品化が義務付けられています。
ワインの輸入に関する届出など
1.届出に必要な書類の準備をします。
○ 食品等輸入届出書(以下、届出書という)(PDF(64KB)、EXCEL(25KB))
○ その他の関係書類
・ 原材料及び製造工程に関する説明書(加工食品等必要に応じ)
・ 衛生証明書(食肉、食肉製品、フグ等必要に応じ)
・ 試験成績書(個別の規格基準があるもの等必要に応じ) →規格基準についてはこちら
→届出書の記入方法
※コードの記載に当たっては輸入食品監視支援業務関連コードを参照して下さい。
2.輸入した貨物を通関する場所を担当する、検疫所窓口へ届出を行います。
→食品等輸入届出受付窓口一覧
3.提出された届出書及び関係書類を、検疫所の食品衛生監視員が法令等に基づき審査し、検査の要否を判断します。
審査は、届出書に記載されている生産国、製造者・製造所、品目、原材料、添加物の使用の有無、製造方法等をもとに以下の内容を確認します。
○ 食品衛生法に規定されている製造基準に適合しているか。
○ 添加物の使用基準は適切であるか。
○ 有毒有害物質が含まれていないか。
○ 過去に食品衛生上の問題があった製造者・所でないか。
(参照)税関:www.custom.co.jp
JETRO: https://www.jetro.go.jp
何かご不明な点がございましたら、経験豊富な当社のスタッフまで、お気軽にお問い合わせくださいませ。