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チーズの輸入量 EU EPA

わが国は世界最大のチーズ輸入国

平成30年におけるわが国のチーズ輸入量は285,760トン(前年比4.8%増)で過去最高を更新し、4年 連続で世界最大のチーズ輸入国となったと言われている。前年に続き第2位はロシア、第3位は米国になる 見込みである。身近な食品となったチーズではあるが、とくに輸入量の95%以上を占めるナチュラルチー ズの供給は、海外に依存する度合いをますます強めている。そこで、ナチュラルチーズを中心に、わが国の チーズ輸入をめぐる情勢を概観してみたい。

私たちの身近な食品であるチーズは、パスタなどの料 理にかけたり、パンの生地等に練り込んだりして使用さ れている。また、お菓子、アイスクリーム、スープ等の様々 な商品にチーズ味が登場するなど、チーズは幅広く使用 されている。さらに最近では、いわゆる「家飲み」の増 加によって、ワインに合うおつまみとしてチーズが選ば れる場面が増えている。 しかし、消費が拡大するチーズの供給は、海外に依存 する度合いをますます強めている。農林水産省が作成す る「チーズの需給表」によると、平成29年度のチーズ総 消費量(ナチュラルチーズベース)に輸入量が占める割 合は85.8%で、前年より1.5ポイント上昇している。同年 度のナチュラルチーズの国内生産量が前年より3.8%減 少したのに対して、輸入量が8.3%増加したことが大き く影響した。

平成20年は、世界的な原油価格上昇の中で、中東やロシ アなど原油輸出国での乳製品需要の増加が顕著であった。また、経済発展が著しい中国国内において生乳が不足したため、中国が国際市場から脱脂粉乳を大量に購入 したことによって、チーズの生産量が減少し、国際市場における貿易量が減少した。その結果、チーズ価格が高騰し、わが国のナチュラルチーズの輸入量が大きく減少したと言われている。 平成21年度以降における乳製品の国際需給は徐々に落ち着きを取り戻し、わが国のチーズ輸入量は増加傾向に転じた。このような状況の中で、全体の5%弱を占める プロセスチーズの輸入量には、あまり大きな変化が見ら れなかったものの、平成28年以降は微増傾向に転じている。他方、ナチュラルチーズの輸入量は、長年にわたり 増減を繰り返しながら増加してきたが、27年以降は4年 連続で過去最高を更新し、30年には276,237トンとなっ た。

チーズ輸入先の変化

わが国におけるチーズの輸入量の95%以上を占めるナ チュラルチーズの輸入量は、長年にわたり、第1位をオー ストラリアが占め、続いてニュージーランド、EU、米 国の順であった。しかし、近年になって、この国・地域 別の輸入量に変化がみられる。 平成22年以降増加傾向にあった米国からの輸入量は26 年に急増した。米国国内の消費が伸び悩んでいたことか ら、米国政府が輸出促進事業として補助金を配布したこ とによって輸入が一時急増した。 また、EUにおいては、平成27年に「生乳クォータ制 度」が廃止となり、生乳生産の上限枠が撤廃されたこと によって、生乳が増産されチーズの生産量が増加した。 さらに、世界最大のチーズの輸入国であったロシアが、 平成26年にEUからの一部食品の輸入禁止措置を実施し た影響もあり、日本向けの輸出が増大した。 EUからの輸入量は、その後も大幅に増加している。 主要国別では、低単価の原料用チーズが中心のオランダ、 デンマーク、ドイツ、アイルランドと、高単価の直接消 費用チーズが中心のイタリア、フランスが順調な伸びを 示している。 図2は、わが国のナチュラルチーズ輸入量の推移を、 輸入先別に示している。近年では、EUからの輸入量が 急激に増加し、ニュージーランドを凌駕し、豪州に肉薄 する状況になっている。その結果、わが国のナチュラル チーズの輸入量は、オーストラリア、EU、ニュージー ランド、米国の順に変わっている。なお、チーズ総量では、平成27年以降に急激な伸びをみせたEUが、平成5 年以来、24年ぶりに最大の輸入先となった。

まとめ

わが国におけるチーズの輸入については、 1チーズの風味が広く受け入れられるようになったこと 2様々な食品に、隠し味や調味料として使用されるよう になったこと 3日EU・EPAの大枠合意によって、EU産チーズが 注目され消費量の増加が予想されること 等の理由により、今後も増加傾向で推移するものと見ら れている。 わが国のナチュラルチーズ輸入量が、中東、ロシア、 中国など乳製品輸入国における需給構造の変化に大きな 影響を受け、平成20年に急減したことは既に述べたとお りである。しかし、拡大する国内のチーズ需要に応える ためには、主要輸出国での変化にも配慮する必要がある。 豪州では平成18年度、19年度に起こった大規模な干ば つにより、当時回復基調にあった乳牛飼養頭数は一気に 減少し、生乳生産にも大きな打撃を与えた。また、同時 期のニュージーランドでは、原油産出国や中国での乳製 品需要の増加により、供給が追い付かない状況が続いた。 そのような情勢により、わが国の両国からのチーズ輸入 量は大きく減少した。 したがって、底が浅いと言われる世界の乳製品市場、 つまり一部の国・地域における需給構造の変化によって 国際価格が大きく変動する中、近年みられるチーズ輸入 先の変化、とくに輸入先の分散は、チーズ国内市場の安定化にとって望ましい選択であったと言えよう。

参照:一般社団法人中央酪農会議

 

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